経営計画を作成しよう!


最近、経営計画に関する本を読みました。

唐突な質問ですが、貴社には経営計画は存在するでしょうか?社長の中には「うちにも経営計画は当然ある!」という方もいます。ただ、よくよく話を聞くと「今年度の売上はいくら」というものばかりです。残念ながら、それはただの売上目標であって経営計画ではありません。

実際、中小企業で経営計画が存在している割合は、かなり少ないのかなと思います。金融機関で融資の相談にいったところ、金融機関から「では、直近の試算表と今後の経営計画を提出してください。」などと言われ、慌てて税理士に相談するというケースがよくあります。その場合、融資を引き出すことが主目的になってしまい、その場しのぎの経営計画を作成することになってしまいます。

その点、上場企業は須らく存在します。私は会計士として、上場企業の会計監査も行っていますが、上場企業は株主総会で株主への説明義務があるため、必ず毎年作成しています。

上場企業は人材が豊富だから、予算や計画の作成部隊がいるんだろうと思われるかもしれませんが、グロース市場やスタンダード市場の上場企業あたりだと、実際そこまで経理人員が豊富なわけではありません。経理人員は3~5人程度です。上場企業も、開発や営業の一線で活躍する人材の募集は熱心ですが、経理、人事などのバックヤードの人員は手薄なことが多いです。そのような限られた人材の中でも、上場企業の経営計画はしっかりと作り込まれており、例えば来期の予算作成のため、来期の会計監査の監査報酬を決算の4~5カ月前には尋ねてきます。売上はもちろん、他の諸費用についてもかなり作り込まれています。一度、どこかの上場企業のHPよりIR情報で検索してみるといいです。毎年、パワーポイントで何十枚という枚数で、来期の計画や予算が記載されています。

中小企業がなぜ作成できないのかというと、結局のところ作成に関する知識やノウハウがないからということになります。おそらく中小企業が最初に頼るのは税理士ということになるのでしょうが、実は税理士にもノウハウがないケースがあります。経営計画や予算作成というのは、学問的には経営学や管理会計という知識のバックボーンが必要になりますが、税理士試験にはこういう科目はありません。(公認会計士試験にはありますが…。)なので、税理士自体も勉強が必要になります。経営学や管理会計の知識がないと、「利益を増やすためには、売上をこのくらい増やして…」などという数字遊びになってしまいます。

この点、現在、当事務所で導入を進めているTKCの会計ソフトは非常に優秀で、「中期経営計画」、「同業他社比較」、「変動損益計算書」、「部門別予算策定システム」などのツールが用意されています。他の会計ソフトにはない経営に役立つツールであり、私がTKCの導入を進めている主な理由です。

話を戻しますが、経営計画を数字遊びにしないようにするためにはどうしたらいいでしょうか。ここで、経営理念や経営ビジョン、SWOT分析(貴社の強み、弱み、機会、脅威)などのバックボーンが必要になってきます。どういうことなのか具体的に例を挙げます。

例えば、皆さんが小料理屋の社長だったとします。開業して1店舗のみですが毎日繁盛していたとします。資金も順調に増えてきて、今後の選択肢も増えてきました。さて、これからどうしますか?

人によっては2店舗目を出したいでしょう。その2店舗目も同じような小料理屋を出すのか、それとも趣が違った飲食店を出すのか、判断が分かれます。また、貯まった資金で小料理屋とは別業態に進出したいと思われる人もいるかもしれません。あるいは、当初の1店舗だけでこじんまりやりたいという人もいるでしょう。

ここで役立つのが経営理念や経営ビジョンということになります。経営理念や経営ビジョンという当初の目的を達成するのはどの選択肢なのか、これらが判断材料を与えてくれるわけです。

もし経営計画でお悩みの方がいれば、お気軽に当事務所にご相談くださいね。


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