今回は税理士の存在意義について考えてみます。 税理士法第1条には税理士の職責が、第2条には税理士の業務がそれぞれ記載されていますが、
難しいことはなしにして、お客様からみたときの税理士の存在意義について考えてみたいと思います。
言い換えれば利用価値、つまり顧問税理士にお金を払う対価と言ってもいいでしょう。
私はお客様にとって税理士の存在意義は大きく次の3つだと思っています。
①記帳代行や書類作成などの事務作業代行
これは本来納税者がすべき経理事務作業をアウトソーシングして税理士事務所にやってもらう古くからの基本的な業務です。
会計ソフトや仕訳に慣れている事務所にお願いしたほうが早く済みますし、
税務署等の役所に提出する書類を作成するのも時間がかかるので時間の節約にもなります。
②会計税務に関する専門知識の享受
これは一般の方々にはわかりづらい会計や税金について、専門家の知識を共有するというものです。
税理士は難関試験を突破した方々ですから、その道のエキスパートです。
また毎年のように税制改正があり、その度に知識のアップデートをしています
③各お客様へのあてはめや提案
これは各会社や事業主にとって、それぞれの状況がありますから、当社(当事業主)にとってどういう節税ができるか、
どの補助金なら申請できるのか、どの保険が適切かというのを個別の事情を踏まえて提案するものです。
また、今後の予算作成や経営計画策定などもあてはまると思います。
以上の3つですが、現在はその比重が①→②→③へシフトしてきています。
①は近年FinTechの広がり等により税理士事務所、お客様双方に経理の事務負担が軽減されてきています。
当事務所でも基本的には預金通帳やクレジットカードの取引はIBから連動して仕訳をおこしますし、
現金も領収書などを携帯で撮影すれば自動的に仕訳と紐づきます。したがって、事務負担はかなり軽減されてきています。
当事務所では最終的に完全ペーパーレス化を目指しています。
②について、税理士は会計税務に関する専門知識を有しているのは当然ですが、
前述したように毎年変わる税制改正に対応しなければいけません。今年も所得税の定額減税や交際費の損金算入限度額の変更がありますしね。
そういった改正に合わせて税務申告をする必要があり、それを税理士にお願いすることになります。
しかし、たまに「あの税理士の説明は難しくて何言ってるのかよくわからない」という声を聞くのですが、
やはり難しいことをわかりやすく説明する能力も今の税理士には必要かと思います。
③は、これこそ今の税理士の役割なのではないかと思います。
②で述べた難しい内容がわかったとしても、「じゃあうちは何ができる?何があてはまる?」という疑問が出てきます。
知識があっても使えなければ宝の持ち腐れです。そこで税理士が「こういうやり方で節税できますよ」
「この補助金なら御社でも申請できそうです」「社長のご年齢、健康状態からこういう保険がいいのでは?」と個別に提案するのです。
ときどき事務所職員がお客様訪問するのですが、何も教えてくれない、何も提案してくれないというお客様の不満を残念ながら聞くことがあります。
当事務所では、お客様ひとりひとりの状況に応じて、ご提案することを心掛けていきます。